論文執筆スタイルガイド

論文で書く時にいろいろなスタイルの決まりがあって、きれいで読みやすい論文を書くためにこの決まりに従う必要があります。 以下のスタイルガイドに載っている項目を確認すれば、特に間違いやすいところを抑えることができます。 「X」は不正解、「O」は正解です。 順番はおおまかに上から頻度の高い順になっています。

一般的なアドバイス

  1. 分かりやすい名前を利用:「手法1」「手法2」、「Method 1」「Method 2」のような名前を付けることが多いが、論文の読者は手法1はどの手法だったのかを覚えないといけないので、負担がかかります。 「LDAなし」「LDAあり」、「NoLDA」「WithLDA」のような手法の特性が推測可能な名前を利用すると覚えやすく、負担が減ります。
  2. 逃げるような書き方をしない:「と思われる」「と考える」「probably」「may」「might」のような書き方は書いたことに責任を持ちたくないことを示す。 本当に分からなくて調べようがない時は使って良いが、それ以外は実験を行い根拠を持って断言する。
  3. 図のテキストは本文と同じサイズで:読めないぐらい小さなテキストの載った図を見かけることはよくあります。原則として、図に入っているテキストは本文を同じぐらい(もしくはちょっとだけ小さいぐらい)のサイズで揃えるのが安全です。

論文英語

  1. スペル誤りに注意:スペル誤りは論文で一番よく見かける間違いです。そのほとんどはスペルチェッカで見つけられるものなので、スペルチェッカを必ず使ってください。Word、vi、emacsなど、ほとんどのエディタについています。
  2. 句読点の後は必ず空白を入れる:英語が母国語でない人は時々、句読点の後の空白を忘れることがあります。
     X "This is a (bad)example of punctuation.Don't learn from it."
     O "This is a (good) example of punctuation. Learn from it."
  3. 句読点は引用符の中に置く:引用符の後に来る句読点は引用符の外ではなく、中に入れます。
       X He is called "Bob", and she is called "Mary".
       O He is called "Bob," and she is called "Mary."
  4. 普通の内容語に大文字を使わない:論文を執筆する時に、重要な概念に当たる単語を大文字にしてしまうことがあります。
     X "This paper discusses Elephants, Dogs, and Cats."
    しかし、これはスタイル誤りで、固有名詞(人名など)ではない限り小文字にします。
     O "This paper discusses elephants, dogs, and cats."
    ただし、略語の説明が続く場合は特別であり、どちらを使っても構いません。
     O "This paper discusses Hidden Markov Models (HMMs)."
     O "This paper discusses hidden Markov models (HMMs)."
  5. 「that」と「which」を使い分ける:原則として「that」は文の中の中心的な情報を表し、コンマを前に置かない。「which」は追加情報に使い、コンマを前に置きます。
       O "Penguins are birds that can not fly, which is an exceptional case."
  6. 口語に注意:以下の単語は口語的で論文では使用しない方が良い:
    • a lot -> many, much, a large amount
    • basically -> essentially
    • but (文頭で) -> however
    • means -> indicates
    • really -> very, extremely
    • since (「のため」の意味で) -> as, because

論文日本語

  1. 表記の揺れに注意:「行なう」→「行う」、「出来る」→「できる」など。表記が複数存在する場合はどっちでも良いことが多いが、必ず1つに統一する。
  2. 口語に注意:以下の単語は口語的で論文では使用しない方が良い:
    • 「なので」→「のため」
    • 「簡単」→「容易」
    • 多くの場合、サ変名詞を使った方が論文らしい:
      「上がる」→「上昇する」、「下がる」→「減少する」、「変える」→「変更する」
  3. フォント埋め込み:LaTeXで論文を書く時、フォントが埋め込まれていることを確認する。そうでなければ違うOSのパソコンで表示した時に文字化けが起こる可能性が高い。

参考文献スタイルガイド

  1. 参考文献の形式を揃える:参考文献の形式を揃えるために、参考文献管理ソフトを使うのをお勧めします。 LaTeXで論文を書いている場合、BibTeXと\citeコマンドの利用を徹底しましょう。
  2. 情報の欠如に気をつける:必ず参考文献リストに目を通して、各項目に最低限の情報(著者名、論文の題名、論文誌名、発表年)が入っていることを確認します。
  3. 引用は必ず著者の名字で:例えば、「James Bond」という著者の場合、引用は「(James 2007)」ではなく「(Bond 2007)」です。 特に、聞きなれない外国の名前の場合は要注意です。